2012年3月29日木曜日

動物たちとの距離感

ティンプーは一応「首都」ですが、同じ首都でも東京とは
あらゆる意味で違いがあります。

その1つが、動物達との距離感。

東京の街中では、ペット以外の動物にお目にかかる
機会は、まずほとんどありません。

しかし、チベット仏教を国教とするこの国は、
殺生を禁じているため、街の野良犬達はまさに放置状態。
我がもの顔で、街中を闊歩しています。






しかも比較的体格のいい犬が多いのは、
人間が残飯を餌として与えているからです。

「もったいない」文化は日本だけではなかったようで、
ある意味で循環型の社会が形成されています。

もっとも飢えている者には、気前良く与えるもの。
というのも仏教の教えの1つのようです。

おかげで我が家の生ゴミは実に少なくてすみ大助かり。

もちろん野良犬は狂犬病の危険性がありますから、
注意が必要ですが、殆どの犬は夜行性で、昼間は
お腹まるだし、この上なく無防備な格好で寝ています。

庭に住みついている野良犬が、子犬を生んだりもして、
こんな光景が日常で見れたりもします。





犬だけではありません。
ウシを放し飼いにしている人もいるため、
自分の家の庭にウシが迷い込み、草を食む場面に
遭遇する事だってあります。



屋外だけではありません。
古い家の中では、ネズミがあちこち走り回っています。
さすがの私もこれには我慢できず、ネズミ駆除のための
市販の毒入りケーキを買って来てもらいましたが、
おかげでブータン人は毎朝のお祈りを倍(つまり1時間を2時間に!)
にしなければならないはめになりました。

仕方なく、苦肉の策で子猫を貰ってくることになりました。
パロに住んでいる友人から送られて来た子猫は兄弟(姉妹?)。
一匹だと淋しかろうと、二匹とも飼うことになりました。


ブータン人曰く、
「母親から引き離して連れて来た罪を償うために、精一杯
世話してあげないといけない」

おっしゃる通り。。。



名前はセセ(ゾンカ語で黄色)とナレム(ゾンカ語で黒)。
とってもやんちゃで走り回っていますが、外は野良犬だらけなので、
家の中で飼うことになりました。

すると、お見事。
あっという間にネズミが姿を消しました。

たしかにネズミがただ嫌だからと殺してしまうのは、
人間のエゴかも知れません。
でも猫がネズミを追うのは自然の摂理。

人間が人間のエゴを捨てて、動物と共生することを選ぶと、
こんな社会になるのかと、この国に住んでいると、
首都でさえそう感じさせられます。