ブータンに来て早2年と4ヶ月が経ちましたが、
今年はじめて一年に一度のお祭り・ツェチュに行くことができました。
毎年ブータン各地で地元のツェチュが行われますが、
ティンプーは9月のこの時期が通例で、
何日も前から祭りのために僧侶達が
特別なお祈りを重ね、
祭り期間中は祝日となり、
多くのティンプー市民、地方から訪れた人々、
そして観光客で賑わいます。
祭りの様子はテレビでも生中継されますが、
実際に祭り会場に足を運び、
その踊りを拝見、拝聴すると、
よりご利益があると言われるツェチュ。
マスクと色鮮やかな衣装をつけた僧侶、
そして熟練した舞踏家達が、
躍動的な踊りの数々を繰り広げますが、
そのすべてには宗教的な意味合いが込められており、
集まる人々に仏の教えをリマインドするという重要な役割が、
このお祭りにはあります。
そのお祭りの中で重要な役割をするのがアツァラ。
赤いお面を着け、ポーと呼ばれる魔除けの男根を持ち、
コミカルな動きで客を笑わせるアツァラは、
一見、その佇まいから「道化師」と思われがちですが、
実はその語源は、サンスクリット語のアツァーリア(先生)
と言われており、言わば仏の教えを人々にわかり易く教える
ファシリテーターのような役割を果たしています。
アツァラは最初から最後までフル出場し、
全ての演目とその裏に込められた意味合いを深く理解し、
全ての踊りのステップを知り尽くしていなければなりません。
面白さだけでなく、体力、知力共にもとめられるそのアツァラの姿に、
「先生」のあるべき本当の姿を見たような気がしました。