2012年7月22日日曜日

もう1つの家族のかたちー養子縁組

家族の絆がとても強いと言われるブータンですが、
もちろん色んなかたちの家族があります。

望まない妊娠や孤児、家庭の事情で子供を育てられない
ケースだって当然あります。

NICUに入院する病気や早産の赤ちゃんの親御さんにも
そのような問題を抱えている方々がいらっしゃいます。

親御さんがさまざまな理由で子供を養育できない場合、
例えば日本では、児童福祉法に従って、乳児院等の施設に収容される事が一般的です。
全国で年間約3000人以上の赤ちゃんが、そのようなかたちで乳児院に収容されています。

しかしブータンにはそのような施設が、私の知る限りありません。

代わりにいわゆる養子縁組、つまり里子里親制度が盛んで、
法的な手続きに従って、赤ちゃんは新しい両親の元へ引き取られていきます。

つい先日も妊娠7ヶ月ちょっとで、小さく生まれた早産の赤ちゃんが、
2ヶ月余りの入院期間を経て、新しい両親とともに退院していきました。

血族間、非血族間に関わらず、ブータンで養子縁組が盛んな理由としては、
様々な要因が考えられますが、ひとつには、不妊治療が殆ど行われておらず、
挙児希望のあるカップルにとっては養子縁組がほぼ唯一の選択肢である、
という背景が大きいように思います。
また医療、教育が基本的に無料であるため、子育てにかかる経済的な負担を
それほど考えなくても済む、というのも理由としてあるかも知れません。

また例え病気や障害を持った赤ちゃんであっても、その恩恵にあずかれる
理由としては、やはりチベット仏教に根ざした価値観が影響しているのでは
ないかと考えられます。

家族の中に子供がいる。
それが幸せの1つのかたちであり、
例えそれが自分の血の通った子供であろうがなかろうが、
五体満足な子供であろうがなかろうが、
受け入れ、愛し、そして育む。

それが可能な社会を果たして、
我々は「開発途上の未熟な社会」と呼べるのでしょうか。

みなさまはどう思われますか?








1 件のコメント:

  1. 大変興味深く読ませていただきました。
    ブータンでは国際養子縁組の斡旋はされているのでしょうか?

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