私の勤めている病棟には、
新生児科医がわたし一人しかいません。
よって、日勤帯は私が毎日ひとりで患者さんの診療にあたり、
休日・夜間はブータン人の小児科医と交代で対応しています。
いつでも24時間必ず医師がいる日本のNICU(新生児集中治療室)
でもそうですが、こういう状況では、
医師がすぐ対応できるわけではないので、
それぞれのシフトに入っている看護師さんの観察力が、
ことさらとても大切になってきます。
よって昨年から少しずつ、
新生児によくある、特有の疾患の看護のポイントを、
病態生理の理解から、どういうことが予測され、
どういうところを観察し、どうなったら早めに
医師に知らせてほしいかを、
具体的にわかりやすく伝えるために、
毎朝看護師さんに1時間程で講義をしています。
余り知られていないかも知れませんが、
新生児期に特有の病気が、実は意外にたくさんあります。
例えば、胎便吸引症候群、壊死性腸炎、未熟児網膜症、
動脈管開存症などです。
看護師さんも足りないため、1回ですべてのスタッフを
カバーすることができません。
よって、同じトピックを2回、3回と繰り返し講義しています。
そしてその時、病棟にいる患者さんの疾患を、
なるべく扱うように心がけています。
最初は英語での講義、パワーポイント作成も一苦労でしたが、
今では随分慣れて、あまり苦に感じなくなってきました。
講義をする部屋は、病棟の倉庫を改造したにわか仕立てで、
窓もなくてそれはそれは窮屈ですが、それでも毎日、
新しい知識を吸収して、またはどこかでいつか聞いた事のある
知識でもそれを改めて思い出してもらい、
例え一ミリでもいいから前進し、
今日よりも明日の新生児ケアが、
よくなることを願って、続けています。
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