2012年2月21日火曜日

インドへの新生児搬送

早朝、早産で生まれて間もない赤ちゃんで、
緊急手術の必要な患者さんを、インドに送りました。


酸素や点滴が必要なため飛行機での搬送
看護師さんが同行します。
空路での搬送を送り出すのは初めてですが、
本当に祈るような気持ちです。


どうか無事到着して、手術が成功しますように。




小児外科は専門性の高い分野。
いくら同じ外科でも脳外科医や泌尿器科医に、
やってくれという方が無理な相談です。

ブータンには、長年この国の小児外科を、
一人で支え続けて来た外国人医師がいますが、
ブータン人の小児外科医はまだいません。
医者だって人間ですから休みが必要です。

このように母と子を引き離すような事態を避けるためにも、
1日も早くブータン人初の小児外科医が
誕生してくれる事を切に願います。



2011年12月8日木曜日

ヨガ・健康と幸福

先週からヨガを始めました。
ティンプーにはヨガが出来るところが何カ所かあります。

本場インドが近いことも影響しているのかも知れませんが、
インド文化の色濃いブータンにとって、ヨガが身近なのも
ある意味当然かも知れません。

テレビでも、ご高名なインドのヨガマスター・サドゥが
何千人もの人を広場に集めてやっている公開野外プラクティス?
の模様がよく放映されています。

私のヨガの先生は、同じ病院のドクター。
本場インドで修行を積んだ方です。
病院の最上階の使用されていない会議室で、
たっぷり2時間のセッションを行います。

先週出来なかったいくつかのポーズが、今週は出来るように
なったりして結構楽しいです。

お祈りや瞑想、ヨガに熱心なブータンの人々を見ていると、
自分の心とカラダをしっかり見つめ直すことって、今まで
あんまり意識していなかったけど、「幸せ」とニアリーイコールな、
こころとカラダの「健康」にとっては、意外に大切な習慣だなあと、
改めて思います。

ちなみに私の一番好きなポーズは「Vrksasana 木のポーズ」です。

ちなみに、Center for Bhutan Studiesというブータンの公的調査機関が
発表した、2010 Surveyの結果には、GNHの重要な要素の1つ、
「健康」に関する指標の調査結果が載っていますので
よかったら覗いてみて下さい。

http://www.grossnationalhappiness.com/






2011年12月3日土曜日

世界エイズデー


12月1日は世界エイズデーでした。

ブータンでは5人のHIV陽性者がカミングアウトしてテレビ出演し、自らの経験を語るなど、
差別や偏見をなくすための公開討論会が放映されました。

日本以上に村社会であるここブータンで、これがなされた事がとても驚きでしたが、
こういうメッセージはPR効果絶大だと思います。

セレモニーでスピーチした、クイーン・マザー(前国王の王妃の一人)がカミングアウトした
HIV陽性者をハグしているシーンもニュースで放映されていました。

病院では、母子感染を予防するための医療従事者のためのワークショップが
開催されました。



kuenselonline » Blog Archive » HIV/AIDS gets a face

2011年11月29日火曜日

お葬式

今日は、仕事が終わった後、同じ病院で働くドクターのお母さんが
亡くなったので、お葬式に行ってきました。

前にも書きましたが、ブータンでは職場の人の冠婚葬祭はとても大事にします。

お葬式は、ティンプーの街の外れにある斎場でとりおこなわれました。


遺族に挨拶すると涙1つなく、むしろ清々しい様子。
彼曰く、突然の死ではあったが、痛みや苦しみなく、
日本流で言うまさに「ポックリ」逝った事。
家族の中で一番長老だった彼女が、子ども達より先に逝った事。
最期の瞬間、彼が死に直面している彼女を精神的に支え、瞑想し
リラックスするよう促す事で穏やかに息を引きとることができた事。
これら全てが、遺族にとっては、悲しみよりもむしろ喜びであると。。。

なるほど。。。

また、驚いたのは親類関係でもない7人の葬儀を一度にやっていたことです。
若くして、なくなった妊婦さんと赤ちゃん。
肺炎で亡くなったティーンエイジャーなどなど。
お年寄りだけじゃない。色んな死のかたち。
それぞれのストーリーも皆で共有します。

斎場は、広場に簡単な屋根があるだけのシンプルな作りで、
お供え物の奥に棺を入れたやぐらが組まれており、
その前でお坊さんがお経を上げた後、一斉に火が放たれます。

盛んに燃え盛る棺を見つめながら、葬儀に参列したドクターの一人が
私に耳打ちしてくれました。
「この火を見るたびに、我々は Impermanence( 永遠のものはない)
ということを思い出すんだよ。」と。

ちなみにブータンでは埋葬はせず、お墓も作りません。
遺骨は、神聖な場所に散骨するなどして自然に帰すのが一般的だそうです。

2011年8月22日月曜日

緊急手術

今日は、赤ちゃんが一人、お腹の病気で緊急手術になりました。

あいにくこの国唯一の小児外科医が不在でしたので、代わりに
この国唯一の脳外科医が執刀してくれて、先程無事終わりました。

脳外科医が赤ちゃん(新生児)のお腹の病気の手術をするのは、
日本ではまず考えられない事です。

しかしブータンでは、日常茶飯事です。
逆に、小児外科医が頭の手術をする事もある。

例え、経験があっても、なくても、
そこに居る人で、そこにある物で、いのちを救うために、
今出来る最大限のことをただひたすらにするしかない。

それがここの医療です。

そして、これがきっと世界中で営まれている
医療の原点なのだと、日々改めて思いながら、
彼らとともに汗し、
最善を尽くす日々です。

今ここにいる
赤ちゃんとその家族の幸せを守るために。





2011年8月14日日曜日

旬の味覚と病棟ランチ

最近めっきり肌寒くなって来たティンプー。
ティンプーでは8月はもう秋です。

週末、野菜市場に出かけると、秋の味覚、「マツタケ」や
「セセシャモ」と呼ばれる黄色いきのこが旬でたくさん
店頭に並んでいます。

大家さんにもらった立派なマツタケで、創作和風ブータン料理を作ってみました。



タッパに入っているのは、病棟に持っていってお昼に皆で食べるためです。
小児科、新生児科の病棟では、毎日、病棟にある炊飯器でお米を炊いて、
各自持ち寄ったおかずを分け合い、お昼ご飯を一緒に食べます。

小児科部長からは患者さんにもらったという「セセシャモ」をお裾分け
してもらいました。こちらは、彼に教えてもらったブータンレシピで、
「シャモダチ」(きのことチーズのカレー)に挑戦。
これも病棟に持っていき、仲間にお味見してもらいました。


この「病棟ランチ」、一人でご飯を食べる事が嫌いな私にとっては、
とっても有り難いシステム。

文字通り「同じ釜のメシを食う」仲間といった感じで、苦楽を共にする病棟の
看護師さんやドクターとも、何だか連帯感が感じられるから不思議です。

2011年8月10日水曜日

オンコール

今週、月曜日から日曜日は、私がオンコール(当番)にあたっています。
オンコールとは、時間外に入院中の患者さんの急変、または入院が必要な
患者さんに対応する当番の事をいいます。

日本では「当直」と言って、病院の中の当直室に待機しますが、
ブータンには当直室はありません。

医師が少ないので、当直シフトを組むことができないのです。

そのかわり、ドクターをはじめ病院職員は、院長も含めて、病院の敷地内
に用意されている職員宿舎に住んでいます。

まさに究極の職住近接です。

しかし、昨今厳しいティンプーの住宅事情を考えると、痛し痒しといった
ところのようです。


医療費が無料のブータンでは、患者さんは時と場所を選ばず、診療を求めて来られます。
休みの日にドクターの家にやって来て、診てくれという患者さんも珍しくありません。
しかしそういう人は大抵、知り合いや友達、親戚だったりするので、ブータンの人は
決して断りません。
小さな社会であるブータンでは、誰でも何処かでなにがしかの繋がりがあるので、
事実上、断る事はできないのです。


私は病院から歩ける距離に住んでいますが、いくら治安の良いティンプーと言えども、
夜道は危ないという事で、夜間に病院からの呼び出しがあるときは、病院の救急車が迎えに
来てくれます。


今日は水曜日ですが、早くも緊急帝王切開、緊急入院、急変と3日連続で
夜間の緊急呼び出しがありました。

夜中の病棟は看護師さんが2人で25人の赤ちゃんを守ってくれています。
といっても看護師さんだけでは到底ケアしきれないため、家族が病棟に寝泊まりして、
24時間付き添い、授乳したりオムツを替えたりしています。


一応、家族には専用の部屋がありますが、大抵満員なので、場合によっては、
床にゴザのような物を敷いて赤ちゃんのベッドの横に寝たりしています。

入院が何ヶ月にも及ぶ事もあるので、家族は本当に大変だと思いますが、
親戚・縁者が皆で支え合い、ひとつの小さないのちがこの世に巣立っていく
日を夢見て、ただひたすらにその時を待ちます。